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執筆者の写真湯本裕二

中毒と火傷

長年に渡る中毒状態の方(野口整体でいう「中毒の身体」ですので、医学的一般的には「中毒」とは看做さないと思います)がいて、定期的に身体を観ているのですが、少し身体の方向が変わってきたかなあ、と感じてきたところで「火傷をしました」との報告。

 

火傷をした処が、右足の二三指間。

 

ここは中毒とか肝臓の急所なんですね。

 

お湯をこぼしてしまったとのことで、綺麗に、その急所に水ぶくれが出来ているんです。

 

自分で無理矢理お灸をすえるみたいなことするんですね。

 

人間の身体とか無為の動作って不思議なもので、強い身体の方は自分で自分の身体を調整して治します。

 

弱い身体の方は自分で自分を壊してしまいます。

 

私にとっての、強い身体、弱い身体の定義は、無意識で自分で治すか自分で壊すかの違いです。

 

筋骨隆々とか風邪を引かないとか、強さ弱さと関係ないです。

 

この無為の動作を鍛えるために活元運動があるんですね。

 

ところで、何故この方は、モノを足に落とすといった形ではなくて、熱湯と足に落としたんでしょうか?

 

火傷に関しては仙椎2番が急所になります。

 

整体操法の基本形で中毒操法というものがあり、型が決まっているのですが、その中毒操法は幾つかの枝葉に分かれるんですが、その裡の一つに仙椎2番を押さえる方向の中毒があるんです。

 

だから、火傷の話を聞いて、「はあ、あの型の中毒なんだ」と得心するわけなんです。

 

それで、操法する時には、当然、胸椎11番と胸椎2番と仙椎2番と押さえていったんです。

 

火傷に誘導されたんです。

 

こちらの動きが。

 

火傷してなかったら、そこは押さえてないんだと思うんです。

 

でも、その火傷は無為に火傷したんです。

 

意識してじゃあないわけです。

 

そして中毒操法の型は50年以上前に創られているんです。

 

無為の火傷に誘発された、50年以上前の型で、私の身体が動くんです。

 

ここには我なんて無いんです。

 

じゃあ何なんだ、何があるんだ、と思うんでしょうけど、ただ「氣」があるんです。

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