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執筆者の写真湯本裕二

水操法と氣操法

更新日:2023年11月9日

現状の私の操法に対する整理です。


野口整体には派閥や流派があり、様々なスタイルがあります。

私自身は野口整体をベースにして色々他の療術由来の技術を接ぎ木するという操法を目指していません。

出来るだけ伝統的な操法をしたいと思っています。


野口晴哉先生の高弟の方でも愉氣しかしない方や、むしろ技術的な側面を重視しておられた方や、活元操法しかしないといった方が様々いらっしゃったようです。


野口晴哉先生も最後の方は、お腹だけ押さえていたそうです。

処を観る目と愉氣の集注密度が段違いだから成立し得る操法です。

それより前の時代には野口先生も色々な処を押さえたり引っ張ったりしていたわけです。それはそれで当然操法のスタイルとして間違いではないわけです。


そこでつまり現代の指導者としてはどの時代の誰の操法を目標とするかの問題があるわけなのです。


私には過去の技術を出来る限り概観した上で現代的に設計し直したいという要求があります。

例えば現在の社会状況では、恥骨や尾骨や肛門に対する操法は行い難いわけです。

昭和ではないので、私などは訴えられたら社会的に即終了してしまいますので、こういった技術は出来るだけ別の方法に代替したいのです。

それでも押さえなければならないときは氣合で押さえますが。


ここまでが前段です。

私の現在の理解ですと、操法の方向は大別すると水操法と氣操法と二つの方向があります。

水操法は血液やリンパ液胃液胆汁小便など体液に関わる主に消化器循環器系に働きかける操法。

氣操法は氣や電気信号や神経伝達物質に関わる神経系に働きかける操法。


これはそれぞれ腰部活点と呼吸活点に代表され、統括されています。

この活点はどちらも腰にあります。

重要なものはなんでも腰にあるんですね。

この二つの活点は一度の操法で同時には押さえません。

相殺してぼやけるからです。


身体が一度に許容できる身体の操作は、血か、息か、のどちらかなんですね、還元すると。

繰り返しますが、最低でも一日の波の中で身体の裡で集注できるのは、水か、氣か、のどちらかということなんです。

すくなくとも正の効果が生じる範囲では。


このことに氣付いた時は軽いショックを受けました。

現代社会は忙しく、血の巡りを良くして、呼吸を整える、みたいなエクササイズを皆さま平氣でしております。

こういった行き方は身体内で力が打ち消してしまって別のものに効果が変容している感じがします。

一挙両得というのはスポーツ的な考え方で、細かく身体の裡側を観ていくと健康に対してマイナスなのかもしれません。

身体の外見の美しさや健康診断の数値を保つにはいいかもしれませんが、実際の身体の裡なる健康には寄与しないかもしれない、ということを認識すべきです。


水と氣の操法に大別するというような見方は、体癖別基本操法よりも前の見方だそうです。

古い操法などを勉強する醍醐味はこういうところにありまして、現代的な常識が破壊されます。

健康という意味の内実が変更されます。


若干とっちらかった文章になりましたが、水と氣と身体内の時間の波に対する皆様の集注密度を高めて戴きたく書きました。

身体外の時間を余り信用しないように。時間は、自我には関わらせてもよいですが、身体には余り関わらせないように。

そうすれば、健康に対して水と氣が良い結果をもたらすと思います。




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